教育理念・基本方針・目標
教育理念
看護職は、保健・医療・福祉のニーズの変化に柔軟に対応し、生命の尊厳と権利を尊重し、安全・安楽で、適切な看護サービスを提供できるための質を保証しなければならない。そのため、個々の看護職者は専門職として、自らの責任において、生涯にわたり更なる能力開発に努める責務がある。
山梨県看護協会は、生涯学習の体系化を図り、県民の健康と福祉の増進に貢献する専門職業人としての能力の開発・発展を支援する。
教育基本方針
山梨県看護協会は、看護の質の向上、安心して働き続けられる環境作りの推進、県民のニーズに応える地域医療を推進する事で、人々の健康な生活の実現に寄与する事を使命としている。
本会の教育基本方針は、日本看護協会及び本会の使命を達成するために質の高い看護人材を育成する教育・研修を企画・運営し、年間の研修計画を日本看護協会・国・県の施策等と連動させ、あらゆる看護実践現場において必要な知識・技術・態度の習得と維持向上、キャリア支援、及び指導者・看護管理者の育成を支援する事である。
教育目標
- 医療と生活の両方の視点を持ち、根拠に基づく臨床推論力・臨床判断力を養う
- 看護職のクリニカルラダーの取得に必要な知識・技術・態度を段階的に学び、安全で質の高い看護実践能力を養う
- 地域共生社会において、チーム医療の推進、多職種との連携・協働をするためのコミュニケーション能力、マネジメント能力を養う
- 看護専門職としての責務を自覚し、看護職としての価値観及び倫理観を養う
- 看護の質を向上させるために、生涯に渡り自己教育力及び実践に活用できる研究能力を養う
「生涯学習」
看護職の役割発揮に欠かせない「生涯学習」の支援となる研修を提供します
看護職が役割発揮するためには、変化する社会やニーズに合わせて主体的に継続的な学習に取り組み、能力の維持・開発・向上を図り続ける生涯学習が不可欠になります。日本看護協会が策定した「看護職の生涯学習のガイドライン」に基づき、本会においても生涯学習の支援に取り組みます。生涯学習は看護職が「主体的に学ぶこと」「生涯にわたり行うこと」「学んだことを実践に活かし、実践から学ぶという循環によって行うこと」「看護職の責務として行うこと」などを基本的考え方と示しています。
その基本方針に則り、年齢や看護職として活躍している組織や領域を問わず、専門職としてのキャリア支援、人材育成に活用いただくための研修を提供します。
研修分類
日本看護協会では、新たな基本方針に基づき、看護職に必要な内容を網羅的に提供するのではなく、以下の5つの分類に沿い焦点化して提示しています。山梨県看護協会では、日本看護協会の分類に準じて研修を提供します。
表1 研修分類
分類 | 内容 | |
---|---|---|
1 | 専門職としての活動の基盤となる研修 | 活動の場等を問わず、すべての看護職の活動において、基盤となる研修 |
2 | 看護・医療政策に関する研修 | 最新の情報も踏まえた看護・医療政策、診療報酬算定に関連した研修 |
3 | 人材育成や教育支援を行う者を対象とした研修 | 看護職の主体的な学びを支援する教育支援者に向けた研修 |
4 | 看護管理者を対象とした研修 | 看護管理者およびこれから看護管理を担う人々を対象とした研修 |
5 | 資格認定教育 | 認定看護管理者教育課程 専門領域における知識・スキルを習得する研修 |
ラダー
研修の段階設定指標として「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」(JNAラダー)に準じ、看護実践能力を5つの段階に設定した。この指標を用いて各受講者が自らの実践段階と対比させ、学びたい研修が選択できるように段階を掲示した。
※段階を設定しない研修もある。
表2 研修分類1における「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」(JNAラダー)の段階設定
レベル | 研修により到達を目指す能力・研修受講に適した能力 |
---|---|
新人 | 社会人に求められる基本的な能力を備える 基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する |
Ⅰ | 標準的な看護計画に基づき自立して看護を実践する |
Ⅱ | ケアの受け手に合う個別的な看護を実践する |
Ⅲ | 幅広い視野で予測的判断をもち看護を実践する |
Ⅳ | より複雑な状況において、ケアの受け手にとっての最適な手段を選択しQOLを高めるための看護を実践する |
看護実践能力
表3 看護師が看護実践を行うために必要な能力「看護実践能力」
能力 | 能力の構成要素 | 能力及び構成要素の定義 |
専門的・ |
自らの判断や行動に責任を持ち、倫理的・法的規範に基づき看護を実践する能力。 | |
アカウンタビリティ (責務に基づく実践) |
看護師としての責務と職業倫理に基づき、自らの判断や行為、行ったことの結果に責任を負い、自身の 役割や能力に応じた看護実践を行う。 |
|
倫理的実践 | 看護師として倫理的に意思決定、行動し、人々の生命や権利、多様性、プライバシー等を尊重し看護実践を行う。 | |
法的実践 | 看護師として法令遵守が定められている行動は何かを認識し、法令やガイドライン、所属組織等 の規範に基づき看護実践を行う。 |
|
臨床 実践能力 |
個別性に応じた適切な看護を実践し、状況に応じて判断し行動する能力。 | |
ニーズをとらえる力 | 体系的な情報収集とアセスメント(整理・分析・解釈・統合)を行い、看護問題の優先順位を判断し、記録共有する。 | |
ケアする力 | ケアの受け手とのパートナーシップのもと、それぞれの状況に合わせた看護計画を立案・実施・評価し、実施した看護への対応を行う。 | |
意思決定を支える力 | ケアの受け手や関係者との信頼関係と対話、正確かつ一貫した情報提供のもと、ケアの受け手がその人らしく生きるための意思決定を支援する。 | |
協働する力 | ケアの受け手や保健・医療・福祉及び生活に関わる職種・組織と相互理解し、知識・技術を活かし合いながら、情報共有や相談・提案等の連携を図り看護を実践する。 | |
リーダー シップ と マネジ メント 能力 |
組織の一員として看護・医療の提供を効率的・効果的に行うために、状況や役割に応じたリーダーシップを発揮しマネジメントを行う能力。 | |
業務の委譲/ 移譲と管理監督 | 法的権限や役割等に応じて、看護チーム(看護師・准看護師・看護補助者)における業務委譲及び他職種への業務移譲と業務遂行の管理・監督を適切に行う。 | |
安全な環境の整備 | 安全な看護・医療提供環境の維持・実現のため、リスクの評価や適切なマネジメント方法の検討を行い、医療安全、感染予防、災害対応等を行う。 | |
組織の一員としての役割発揮 | 組織(チーム等)の中で、業務改善やチームワーク向上のために行動し、担う業務の優先度を考え、時間等の適切な管理のもと実施する。 | |
専門性 の 開発能力 |
看護師としての資質・能力を向上し、適切かつ質の高い看護実践を通じて、看護の価値を人々や社会に提供し貢献する能力。 | |
看護の専門性の強化と社会貢献 | 看護の専門職として、制度・政策の提言や看護学の発展等の看護の効率・効果を高める活動に、専門組織を通じて関わり社会に貢献する。 | |
看護実践の質の改善 | 看護の成果を可視化、分析することで、自身や組織の看護の改善プロセスに関わるとともに、同僚や学生の学習支援・指導に関わる。 | |
生涯学習 | 自身の能力の開発・維持・向上に責任を持ち、生涯にわたり自己研鑽を行い、他の看護師や保健・医療・福祉に関わる多様な人々と共に学び合う。 | |
自身のウェルビーイングの向上 | 適切で質の高い看護を実践するため、看護師自身のウェルビーイングを向上する。 |
※表1は公益社団法人日本看護協会「2025年度看護協会教育計画」より一部引用
※表2及び表3は公益社団法人日本看護協会「看護師のまなびサポートブック(日本看護協会版)」より一部引用
※訪問看護のラダーレベルについては、公益財団法人日本訪問看護財団発行「訪問看護師OJTガイドライン(第3版)(外部リンク)」を参照してください。
教育計画「リーフレット」
【2025年度】研修について【2025-2】